顎関節症について
広がる顎関節症
「あごが鳴る・口が大きく開かない・あごが痛い」は顎関節症の三大症状です。歯や骨が成長する10代から増え始め、20~30代の女性に多く発症しています。重症になると症状や痛みが全身に及んだり、開口障害による食事困難から精神的にも影響を受けるなど、日常生活に支障をきたす場合もあります。自然に治る軽症のものから、日常生活にも支障を来たすものまで様々です。三大症状の一つでも現れたらご相談ください。
顎関節症の仕組み
下顎の上端(関節頭)と上顎のくぼみの間には、関節円板という組織があり、骨同士が直接擦れ合わないよう、クッションの役目をしています。この関節円板が外傷や歯ぎしりなどの咬み合わせ異常・ストレスなどにより、炎症起こし口が開かないなどの症状が出ます。
主な原因は、歯ぎしりやストレス・食事中に左右一方でばかり咬む・うつぶせ寝・頬杖・悪い姿勢からくる骨格の歪みなどがありますが、近年の顎関節症の増加の一番の原因は、食事の欧米化によりハンバーグやスパゲティなどの柔らかいものを食べるようになり、顎の筋肉が衰えてしまったことだと言われています。
顎関節の主な症状
食事時などに異音がする
顎を動かすと、耳のあたりで「カクカク」「ミシミシ」といった音がする。痛みはなく、音のみの場合は顎関節症予備軍です。
痛み・肩こり・耳鳴り
食べ物を咬む時や笑った時に、こめかみや顎関節や周辺の頬に痛みが出るのが特徴です。顎の動きに関係なく痛みが出る場合は、他の病気の可能性もありますのでご注意ください。
口を大きくあけることができない
口を開けて指三本を縦にして口の中へ入れてみてください。指が入らない方は開口障害の可能性があります。口を動かすと痛みで無意識に顎を押えてしまう場合と、朝起きたらいきなり口が開かなくなったなどの突然起こる場合、徐々に口が開かなくなる場合などがあります。
咬み合わせに違和感がある
顎関節や筋肉に異常があると、咬み合わせが変わる場合があります。急に咬み合わせに違和感を感じたら顎関節症の疑いがあります。
歯科的要因
歯医者さんで治療した歯で、プラスチックや金属冠が長期経過したり、入れた時から不適合だった場合、長年にわたって咬み合わせがずれ、顎や全身に異常をきたすことがあります。
顎関節の治療
マウスピース治療
過度な食いしばりや、歯ぎしりが顎関節症の原因と考えられる場合、就寝時にゴム製のマウスピースを装着していただき、顎関節への負担や筋肉の緊張を和らげる治療方法です。
スプリント療法
顎関節部の靭帯が強縮している為、関節円盤の変形がおこり口の開閉がスムーズに行えていない場合、スプリント療法(硬質のマウスピース使用)にて靭帯をストレッチし顎関節の可動域を広げるという治療方法です。
1日1時間マウスピースを装着し、靭帯のストレッチ運動を行ってもらいます。
薬物療法
顎関節症の症状に合わせて消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などのお薬で治療を行う方法です。顎関節症は顎の筋肉だけでなく、首や肩の筋肉まで固くなっている場合が非常に多いです。炎症を抑え痛みをとったり、肩こりや頭痛の改善効果もあります。
認知行動療法
顎関節症はやわらかいものばかり食べていた食生活や、デスクワークでの頬杖・猫背など何気なくとっていた姿勢や歯ぎしりなどが原因であることが多いです。それらを認知し、自分で意識することで原因を取り除きます。
歯ぎしり・食いしばり治療について
歯ぎしり・食いしばり問題について
歯ぎしりをしているかどうか、それはご自身ではなかなか判断できません
特に歯ぎしりは音が鳴るので、周りの人から指摘されて気づくことがありますが、食いしばりをしているかどうかはなかなか自覚できません。しかし、デスクワークやストレスなどで食いしばりをする患者様の数はどんどん増えているのが現状です。
歯ぎしりや食いしばりは、むし歯や歯周病の進行を早めるなど重大なリスクがあることも明らかになってきました。「朝起きたら顎が疲れていた」「最近肩こりがひどい」などの違和感が少しでもあれば、早めに当院までご相談ください。
こんな時、食いしばっていませんか?
夜間の歯ぎしり・食いしばりだけではなく、噛みしめの癖は日中にも現れます。
以下のような時に、多く見受けられます。
- 勉強をしている時
- パソコンやスマートフォンを見ている時
- 車の運転中
- 緊張やストレスを感じている時
歯ぎしり・食いしばりが引き起こす主な症状
✓歯の擦り減り ✓ひび ✓歯根破折 ✓顎関節症 ✓歯ぐきが下がってくる ✓歯がしみる ✓肩こり ✓頭痛
歯ぎしり・食いしばりの対策とは
ナイトガード
就寝時にナイトガードというマウスピースを装着することで、歯ぎしりや食いしばりから歯を守ることができ、あごにかかる負担を軽減できます。
当院では、ナイトガードを作製することが可能ですので、お気軽にご相談ください。
日中に意識をする
夜間無意識下で行っている歯ぎしりや食いしばりと異なり、日中噛みしめる癖は意識下で行っているため、ご自身の意識で改善していくことも可能です。
唇は閉じたまま、上下の歯を接触させないよう意識することが大切です。
ボツリヌストキシン療法
歯科分野で最近話題を集めている治療法が「ボツリヌストキシン療法」です。別名「ボトックス治療」とも呼ばれます。
ボツリヌス菌から抽出された成分を患部に注射することで、筋肉の異常なこわばりを緩和していきます。ボトックス治療=美容医療をイメージされる方も多いですが、歯科で扱う様々な疾患、特に顎関節症や歯ぎしりの改善に効果を発揮します。
また「ボツリヌス菌って大丈夫なの?」とご心配になる患者様に対しては、広く医療現場で使用されている薬剤を使用していますので、安心・安全で問題はありません。
ボツリヌストキシン療法の治療の流れ
1. カウンセリング
歯ぎしり・食いしばりの状況を確認します。歯の摩耗具合から現状が判断できるので、ボツリヌストキシン療法が適しているのかを患者様と一緒に検討します。
2. 治療箇所確認
治療箇所をしっかり確認し印をつけていきます。(施術後は消します)
3. 治療
刺入時の痛みを和らげるため、表面を冷却し片側6ヶ所にボツリヌストキシン注射(薬剤名・Neuronox)を打ちます。治療後3日から7日で効果が現れ、持続時間は3ヶ月から6ヶ月ほどです。
ボツリヌストキシン療法のメリットとデメリット
メリット
- 顎関節症の改善
- 口周りのシワの改善
- エラが目立たなくなる
- 咬筋の緩和により肩こりや頭痛の改善・小顔効果
デメリット
- 刺入部に青あざができることがある(数日で消失)
- 保険適用外
- 数ヶ月しか効果が続かない
料金
税込み価格です。
1回(左右 40単位) | 44,000円 |
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