功罪

 

『歯のかみ合わせの部分に、プラスティック製の、直径2㎜ほどの白い詰め物をされてますが、その部分で虫歯になっていますね。外して直しますね。』

『お願いします。』

『小さな虫歯のようなので、麻酔せずにいけるかもしれません。もし痛かったら左手を挙げて教えてください。』

『はい、分りました。』

・・・と言って始めた治療。

でもその詰め物を外した途端・・・・唖然。

詰め物の下は、大きな空洞であわや神経を取らなければならないほどの虫歯。

直ぐに麻酔をしての治療に切り替え、神経に炎症が出ないように薬を入れ、型を取り終了。

特に症状が出なければ、次回金属を詰める予定です。

奥歯の噛み合せの部分に詰める保険適応のプラスティック製の詰め物には、大きな利点と欠点があります。

利点は、治療が一回で済み、歯と同じ色で見た目がきれい。

欠点は、材質的にはとても弱く、噛んでいるうちにすり減ってきたり、ひびが入ってきたり、歯との接着面が剥がれてきたりして、虫歯になる可能性が、金属の詰め物より数段上であるという事。

奥歯の噛みあわせの部分の治療にはお勧めできない材質であると、私は思っています。

見た目の綺麗さと、保険適応という事だけでこの材質を選択することの危険をつくづく感じるも、その危険を上手く患者様に説明がつけないもどかしさをいつも感じています。

(直径2㎜ほどの白い詰め物を外すと、こんなにも大きな深い穴が・・・・・)