顔には出さない
大学卒業後、私は広島大学歯学部・第二口腔外科に入局しました。
入院患者のある口腔外科なので、
外来・病棟・手術室と、とても忙しい毎日でした。
時間があれば病棟で何かをしていましたので、自分の受け持ち以外の入院患者さんからも、
“ よしもと先生(^’^) ”
ってよく声を掛けられていました。
特にご年配の方からは孫のように思われていたようです。
こわーーい病棟の看護師長さんや、
鬼軍曹とまで言われた手術室の看護師長さんからもかわいがられる存在でした。
今考えれば、よっぽど頼りなかったんでしょうねぇ。( ^^) _U~~
入局一年目の冬、学部内での学会発表をするように言われ先輩の先生方の協力の下準備をしていました。
そのころ私の体に異変が・・・
とにかく怠くて怠くて、ずっと微熱が続いていました。
学会準備に病棟勤務と忙しいのが原因だと思っていました。
体調が最悪のころ新しい入院患者の主治医になり、入院後の検査等を担当。
いつもなら入院後何度も何度も患者さんのところに行き話をするのですが、遂に2日ほどダウンしてしまいました。
検査をしてみると私自身が入院しなければならない状態。
受け持ちの入院患者一人一人に事情を説明して回り、患者さんから逆にお見舞いの言葉を頂く次第でした。
でもたった一人の患者さんは違いました。
入院日にだけ顔を出しその後顔を出せなかった患者さんは私に・・・
『他の患者さんの所には毎日何度もに主治医の先生が来てるのに、先生はお久しぶりですね。入院ですか?患者をほったらかしにしていた罰が当たったんですよ。自業自得。』
患者さんって、皆わらをもつかむ気持ちで入院してきてるのに、そこの先生が病気でしんどくてきちっと診てもらえられないって考えたこともないし、もしそうなら最悪ですよね。
そんな先生なら直ぐに代わって欲しいし、同情できるわけないですよね。
患者さんの前では、
どんなにしんどくても、苦しくても絶対に顔に出さない
いつも笑顔で!!
って25歳の頼りない歯科医師1年生が痛感した瞬間でした。
うちの愛犬パンプはどんなにしんどくても優しく私を見てくれるし、ボール遊びをしようって寄ってきます。
私が帰宅する車の音に気づき、ワンワンってお迎えをしてくれます。
気を遣わずしんどい時はじっとしてていいのに・・・・・