痛みを分る

 

医者なんて、患者の気持ちを分ってない!!

・・って思っていらっしゃる方は多いかなぁ?

私が今までに患者様から直接言われた言葉・・・

『お前に俺の痛みの何が分る。』

『総入れ歯でない先生に、私の苦しみが分るわけない。』

『入れ歯入れたことがあるのか!!』

『先生は綺麗な歯だから・・・・』

実際にその人本人でない私が、患者様と同じ痛みや苦しみを共有することは出来ないのが事実。

結論は、

分らない

が正解でしょう。

でも違う方向から分ろうと努力し、痛みや苦しみを何とか患者様から取ろうとしているのが医者なんです。

同じ痛みや苦しみを共有してしまうと、感情移入してしまい冷静な判断が取れなくなってしまいます。

・・・・と自分に言い聞かせて30年が経ちます。

実際には医者も人間。

苦しんでる、痛がってる人を見れば、心が痛烈に痛みます。苦しいです。

でも私たちは、見るのではなく、診なければならないんです。

白衣を脱いだ瞬間に、歯科医師から個人に戻ろうとするも、戻れない時があります。

その時いつも脳裏に浮かぶ光景・・・

歯科医師一年生の私の入院担当患者様が亡くなられた時、病棟中に響き渡る家族の泣き叫ぶ声。

ナースステーションの片隅で歯科医師一年生の私はカルテを記載するふりをしながら、涙が止まらなかった。

いつまでも涙が止まらなかった。

その時私は、24年間で味わった事が無い感情に押しつぶされそうでした。

 

最近スタッフの治療をしています。

忙しくて一切かまってやれなかったスタッフ。

虫歯なんてないだろうと勝手に思ってました。

綺麗にしてあげないと・・・

痛みが出ないようにしてあげないと・・・・

もうちょっと早くしてあげれば・・・って思うスタッフも

スタッフの治療中は診療室に笑い声でいっぱいです。

異常にはしゃぐスタッフもいれば、不安そうな顔をするスタッフも・・・(^’^)

患者様の気持ちがちょっとは分ったかな?

(名誉の為モザイクをかけています(^_-))